クマの寝床

かつて敗者だった人と、これから敗者となる人に捧ぐ

「それでも僕は、部活を辞めたい」

友人が部活動を辞めたいらしい。

その部活動は体育会系で伝統によるルールが厳しく、
話を聞く限りでは部員を人間としてではなく組織の歯車のように扱い、
仮に、辞めようかなと他の部員に相談した際には、
その噂は噂は全員に広まり、
家に先輩方多数が夜分突然訪問してきて半ば脅しながら部活に残ることを説得してきたりなど、聴いているだけで嫌になることもたくさんある。

僕にはその友人が非常に大切な存在であるのだが、どうやら部活を辞めるための最終段階として、部員全員の前で自分が辞める皆が納得できるような理由を言わなければならないらしい。

僕はその友人のためを思って頼まれた訳では無いが、彼を思ってその文句を書いてやった。

先輩方が反論してこないような内容にしつつ、それでも完全に辞めることの出来るような文章の作成はなかなか骨が折れたため、途中は怒りを爆発させてしまったため、ご了承頂きたい。

以下

「○○です。

突然ではありますが、僕は今日この部活動を辞めます。

これは部活が嫌いになったからという訳では無く、大学在籍中にもっと他の多くのことを知りたいと思ったからです。

ある先輩にそう言うと、「部活をしていると、人間的に成長出来、就職にも有利になる」と言って、残るように説得されました。

これはその先輩以外にも多くの人が思い、信じていることであると思います。

確かに部活動を通じて、僕は礼儀の基礎、後輩の指導、組織運営の難しさ等、様々なことを学べました。

これらはきっと就職時やその後社会人となった時に役に立つだろうと思います。

しかし、これらは僕の意思とは無関係に、強制されたものでした。

そこには僕の心など入る余地もなく、理不尽な、納得のいかないようなキツイ練習を強いられたことも多々ありました。

このように部活動とは、将来社会の駒として生きる人材の育成には非常に適しているかもしれませんが、一人の自由な人間の精神的成長を考えると、決して良いとは僕には到底思えません。

僕はこれからの人生を有意義に生きたいです。
そして、有意義に生きるためにまず必要なことは、「本当に自分の求めることは何なのか」を考えることだと思います。

未熟で恥ずかしい限りですが、僕にはそれがまだ見つかっていないのです。

そして、この部活でも無いと思います。


なので、それについて少し考えようとしたときに、
今所属している部活動が何処か本来の世界よりも狭く、特異であることに気づきました。

自分が多様であるはずの世界に目を向けず、成り行きに任せて人生を過ごしてしまうことになりそうで非常に怖くなったのです。

なので、部活は決して嫌いでは無いのですが、以上の理由よりやめさせて頂きます。

今までお世話になった先輩方、
本当にありがとうございました。

そしてこの部活動に残る人たちへ一言言わせて頂きます。

自分の将来を考えることも無く成り行きでこの厳しい部活に入った人達へ、

もう一度自分の人生を考え、その後にこの部活に留まる意味が本当にあるのかを考えろ!!

その後おまえが去るも残るも、おまえの自由だが、
この決断による影響は、大学生活だけに留まるものではない!!

自分の人生を何に使うのか、考えるのに就職してからでは残念ながら既に周りより一歩、いや二歩遅いのだ。

大学での学生生活は本来最も自由でかつ将来を考えるのに適した時間なのだ。
その時間をただボール遊びだけに専念することを、君の心は望んでいるのか?

そんなこと望んでいない!!と思うお前ら、おれに続け!!

そして俺たちを虐げる悪魔たちのその面に唾を吐き、こう叫ぶんだ

『俺の人生を舐めるな!!』と。

これを乗り越えた君らは、
かの革命の志士たちまでもが心底思い焦がれ、しかし手に入れることの出来なかった「自由」を手にすることが出来るのだ!!

君の未来はきっと明るいさ!


ー僕からは以上です。」

……


皆はどう思うだろうか?
それについては皆のコメントを期待するとするが、

僕はこの演説に非常に大きな可能性を感じている。